No.45 2021年9月発行 日高俊平太 選 |
負けるとも勝つとも言わぬつくしんぼ | 飯塚 恒夫 | 蛇穴を出づ歌垣の地でありし | 百瀬七生子 | 一月や種火のごとく点し住む | 別所 信子 | 梵鐘は男の背丈実朝忌 | 早野 和子 | 悼 有馬朗人氏 春光や地球を独楽と言ひし人 | 児玉 一江 | 尺八のむら息蛇の穴を出づ | 太田 直史 | 活けてすぐ伸びる菜の花利休の忌 | 佐藤 享子 | 紙漉のさざなみの音重ねけり | 藤川三枝子 | 梅林の入(い)るなといふに雀どち | 赤木 和子 | 顎しやくることも挨拶鱈漁師 | 蒲田 吟竜 | 初蝶の一枚二枚と数えたる | 末永 淳子 | 海舟・南洲三月の愛宕山 | 龍野 和子 | 春暁に艇庫扉の重き音 | 永井 環 | 雪虫の均し終へたる畑黒し | 宮下とおる | 空稲架を片付けぬまま水温む | 吉田 一男 |