No.30 2019年3月発行 榎本 好宏 選 |
烏瓜搖らして酔のまはりたる | 百瀬七生子 | 板樋を落つる山水青芒 | 天野 祐子 | 泉汲む﨔大樹の走り根に | 小野崎清美 | 後添は貰はず仕舞白絣 | 太田かほり | 西瓜浮く槽(ふね)に引きある山の水 | 菅 美緒 | 山の晴れがまずみの実の透くまでに | 金子智枝子 | 鰯雲風呂も厠も土間を出て | 石井 公子 | 笛方の袴たたまる白桔梗 | 佐藤 享子 | しつらひの一つ打水川床支度 | 山本たか子 | 少しづつ形見失せゆく秋ざくら | 岩井 充子 | 藍浴衣少し端折(はしょ)つて外湯まで | 齊藤 仲子 | 味噌蔵の梁に塩ふく大旱 | 末永 淳子 | 螢袋余生捨てたるもので無き | 露木 敬子 | 白萩の扉に挟みくる手紙かな | 馬場 昭子 | 一盞を五山送り火消えたれば | 宮下とおる |