No.33 2019年9月発行 榎本 好宏 選 |
獅子舞の正座の家主まず嚙まれ | 飯塚 恒夫 | 啓蟄やゆるびてゐたる貝釦 | 別所 信子 | 晴れすぎて野火の勢ひのなかりけり | 小野崎清美 | 姫川の激ちて海へ雪濁り | 河本 茉莉 | 飛石の春著に広き歩幅かな | 金子智枝子 | 花便り墓守酒を買ひに下り | 船杉しん子 | 裏返すボート干しあり四月馬鹿 | 藤川三枝子 | 験担ぐ叔母に手をかす宵戎 | 露木 敬子 | 杉木立室生寺なべて朧かな | 後藤 政子 | 初雪や上手に転び誉めらるる | 岡本りつ子 | いちにちの始まる音や霜柱 | 木村 珠江 | 雛の間や子の居るやうな気配して | 澤田美奈子 | 初音聞く他にさしたる事もなし | 中村いはほ | 裏木戸にいつも人ある柿紅葉 | 松崎 一男 | 春時雨やめば帰ると言ふつもり | 八木美恵子 |