No.36 2020年3月発行 榎本 好宏 選 |
紫蘇の香や顔のそろはぬ夕餉どき | 高橋 博夫 | 畳屋が仕舞の蚊遣消しにけり | 柏倉 清子 | 秋暑しにはか舞妓の下駄の音 | 児玉 一江 | 蘆の花川の授かり物あまた | 藤川三枝子 | 滝音のほたるぶくろをゆらしけり | 赤木 和子 | 百咲けば百の風吹く秋桜 | 石井 文子 | 店先の花束短か八月来 | 木村 珠江 | 桐下駄の鼻緒なじまず夏了る | 末永 淳子 | つるかめつるかめはたた神来る来る | 龍野 和子 | ちと旨しいつもの酒や夜の秋 | 中村いはほ | みんみんの昼を鳴きつぐ段葛 | 蓜島 良子 | 山荘閉づ名前のつかぬ夏料理 | 花村 美紀 | 柚子褒めて次の逢瀬を約束す | 原山テイ子 | 紙ひかうき老人夏を持て余す | 宮下とおる | 鬼灯市ネクタイはづしながらくる | 八木美恵子 |