No.14 2016年7月発行 榎本 好宏 選 |
冬来たる足らざる景のなかりけり | 飯塚恒夫 | 霜菊の抱き起こされしやうに逝く | 天野祐子 | 夕かけてよき雨となる入彼岸 | 渡辺美津子 | 北風や木地師積み置く木曽五木 | 金田弥生 | 行く秋の舟に見上げし橋の数 | 赤木和子 | 鳩のふむ落葉の音もお元日 | 加藤桂子 | 谷に谺熊の巻狩勢子の声 | 菅家吉児 | 敷松葉かたづき茶会始まりぬ | 斉藤仲子 | 山茶花の散りて再び逢ひ難し | 佐藤享子 | 冬蜂や閻魔の口を死に場所に | 角野精三郎 | 冬帝の彦根屏風の裏に来し | 永井 環 | 知りあへてよかつた鯛焼温き日に | 馬場昭子 | 冬の日の我に影ある寧けさよ | 宮下とおる | 膝元に障子明りや句座日和 | 目黒 礼 | たれ挿しぬ厨の窓の梅擬 | 八木和一 |