1. 榎本好宏作品 |
  2.  同人の秀吟 |
  3.  航路抄 

No.21 2017年9月発行 榎本 好宏 選

なづな粥うましを終の声となす田口 冬生
巾着田よりかへりみる芽吹山高橋 博夫
神垣に山焼きの火の止まりたる百瀬七生子
声明のやうに木の葉の舞ひにけり天野 祐子
田植機の利根のたひらを折り返す安倍由美子
花菜摘む一村海へ傾ぎゐて赤木 和子
小流れに蛇籠ほつれし犬ふぐり秋丸 康彦
平穏のほかいりませぬ菫草石井 文子
雪眼鏡入れていつもの旅鞄岩井 充子
裃のわらべ豆撒く伝へよや加藤 桂子
羽ばたくや目覚めるものに葦の角五木田摩耶
一望に蝦夷のあかりや鳥賊灯濃し坂本 りき
木の芽風港籠りの舟を塗る佐藤 享子
窯出しの始まつてゐる春の雪露木 敬子
山焼きの煙棚田へ水の音富田  要