忘れずば | No.44 2021年7月発行 |
少年の死 二句
鯉幟四十九日といふ別れ | 矢車のはつかな音も忘れずば | 裏山より列の篝火薪能 | 町長にもひとつ肩書き桐の花 | 桐の花ラジオ体操終へし村 | 吹流しばかり賢し吹かれけり | 水田にはならぬ一枚匂ひけり | 雨乞ひの経また一人膝ついて | 寺の田を済ませ田植の始まりぬ | 瓜番の小屋に届きし昼餉かな | 羽抜鶏ひとつ峠に茶屋二つ | 金魚玉出して噓つき始めたり | 爪楊枝取りに戻りぬ端居して | 虹の立つ挽歌に節を付けながら | 左利き誰より上手雨乞ひす |