望今宵 | No.34 2019年11月発行 |
打ちて茹で洗ふ音まで走り蕎麦 | 花萩に音ありとせばひゆるるひゆる | 悼・酒井和子さん
水澄みてはろかより声和子のこゑ |
暖簾出てたれかれ仰ぐ月今宵 | 金星に日に日に後れ月の満つ | 望にして足らざるものの二つ三つ | 月昇る屋根におのおの物語り | 長男と呼ばれ永かり十六夜に | 月に父に言ひそびれしこといくつ | 恋唄のあまた枝垂るる芒の穂 | 刈上ぐる稲田一枚づつ忘る | 誰に言ふとでもなかりし菊日和 |