第4回 受賞作品
榎本好宏 選
 第四回「航のつどい」全国俳句大会は、令和元年十月二十一日、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で開催されました。司会は同人会会長の田中勝と幹事の花村美紀。
 今年は、「航」創刊五周年記念事業の一環として、毎号特集記事が組まれてきましたが、幹事長の太田直史の挨拶では、橋本榮治さん(枻共同代表)、横澤放川さん(森の座代表)、榎本主宰による三者鼎談「わたしにとって俳句とは」及び「三誌合同句会」の開催、会津の会員の皆さまとの共同企画で実現した「奥会津吟行」などが報告されました。また、八月には主宰が『森澄雄 初期の秀吟』を上梓され、併せて報告されました。
 榎本主宰の挨拶に続き、永井環さん、児玉 一江さんの披講で大会賞、特選、秀逸及び第五回「航賞」の特選と秀逸が発表され、主宰の講評をいただきました。
 五周年記念の特別企画としては、細谷喨々先生をお招きし、「生きることと俳句」を講演いただきました。
 懇親会では、「航出版」より句集を出版された、大須賀衡子さん、太田直史さん、小谷迪靖さん、龍野和子さん、山口悠紀子さんを紹介。また、創刊時から「航」誌の編集に携わるとともに、「航出版」でご尽力いただいている岡幸子さんに、主宰より感謝の言葉が述べられました。
 乾杯の御発声は、掛川市から出席された内藤雅博さん。中締めは編集長の宮下とおるの一本締めで和やかに閉会しました。

  

大会賞
八月の忌の日三日を家居せり森田 公司
特 選
宥せるは人のやさしさ土用の芽田中  勝
利根川の分水十里蟇のこゑ蓜島 良子
寒牡丹に少し傾げど藁囲ひ安部由美子
八月や文の結びのさようなら宮下とおる
北斎描くなりはひなべて素足にて赤木 和子
人恋ふに蛍袋を揺らしもす石塚 富子
盆の市束ねて軽きものばかり佐藤 享子
盆をどり仏ごころに浮きごころ渡辺美津子
八月や時計廻りに納豆搔く別所 信子
秋蟬や蔵に褻の椀晴の椀早野 和子
秀 逸
山霧の晴れて蛇笏の忌なりけり保坂 定子
日の暮れて祭太鼓の音合はせ 栗原  満
夏神楽ふいと振り向くおかめ面船杉しん子
青葡萄龍太旧居へ坂がかり天野 祐子
丑の日の老舗の前のひとだかり立花 順子
雷や飛鳥仏の頰に傷山野美賛子
古井戸を祀る酒蔵合歓の花青山 幸則
家風てふことば頽れて青簾三浦  郁
白息に硝子の曇る曼荼羅図木村 珠江
存らふは我が為ならず軒の月秋山  健
油膜浮く川面八月来たりけり石井 公子
たとふれば選にもれたる秋桜小谷 迪靖
小豆干す山のうらには日本海岩井 充子
水無月の水の貴船に遊びけり下山永見子
相槌のひとつ遅れて生身魂花村 美紀
墨書きの塚の名薄る秋の声田口 愛子
蟬涼し掃きぐせつきし庭帚山口悠紀子
ダルマサンガコロンダ夕焼の顔龍野 和子
新涼のさねさし相模一之宮露木 敬子
観音の耳の長きに法師蟬馬場 昭子

   

  1. 第1回「航のつどい」 全国俳句大会
  2. 第2回「航のつどい」 全国俳句大会
  3. 第3回「航のつどい」 全国俳句大会
  4. 第4回「航のつどい」 全国俳句大会
  5.   第5回「航のつどい」 全国俳句大会