榎本好宏 選
二〇一七年十月二十日に、東京のアルカディア市ヶ谷(私学会館)で開催。大会賞一名、特選賞五名、秀逸賞十名に授賞されました。榎本好宏主宰の講演「師の成し得た仕事を継承する ―森澄雄 第二句集『花眼』より―」の後、第2部のパーティ会場では、「航」誌連載執筆者のスピーチに始まり、懇親の宴が開かれました。
大会賞 | 足袋跣いよよ見せ場よ阿波踊 | 秋山 健 | 特 選 | 沖に出ぬ燈籠ひとつ浜施餓鬼 | 松岡 郁夫 | はたた神大黒柱輝けり | 渡辺 幸弓 | 桔梗咲く袱紗包みを解くやうに | 石井 文子 | 満月も小さくなりし宵張り | 鈴木 玲子 | ひぐらしのこゑ真つ直ぐに抜ける三間(みま) | 早野 和子 | 朝涼や神棚高き醤蔵 | 佐藤 享子 | 鴬張り鳴つて前山枯れにけり | 木村 珠江 | 来迎図琵琶の鼓の涼しさよ | 石井 公子 | 蝙蝠や夕星ひとつづつ殖ゆる | 薮田 國子 | 月よみの光にねまる秋遍路 | 太田かほり | 秀 逸 | 風のみち見えて越後の青田かな | 田中 勝 | 青嵐根本中堂振り返る | 天野 祐子 | 螢よ大樹に星の降りくれば | 龍野 和子 | 金魚の水替へ口紅も替へました | 小林 雪柳 | 洗ひ場の鮴に裾分け今年米 | 太田 直史 | 綿菓子を太らせてゐる祭笛 | 蓜島 良子 | 髪塚に滴してゐる茂りかな | 森田 公司 | 金輪際生身魂にや勝てやせぬ | 別所 信子 | 常念岳の晴れて全し蕎麦の花 | 保坂 定子 | 滝しぶき男に触るるおもひあり | 船杉しん子 | 紀の国の鮎釣る川に水垢離碑 | 加藤 桂子 | 稚抱かせてもらふ広島忌なりけり | 赤木 和子 | 蝦蛄茹だるうす紫の湯気にかな | 大須賀衡子 | 炎昼のニコライ堂の石の椅子 | 宮下とおる | この島の匂ひ天草煮てをりぬ | 三浦 郁 | 夏帽子置かれてことばあるごとし | 馬場 忠子 | 朝顔を数へはじめて豊かなる | 永井 環 | 足掬ふうねりや秋の来てゐたり | 田口 愛子 | 翡翠の水より虹をひきつれて | 後藤 政子 | 枕辺に八重の挿したる稲穂かな | 小谷 迪靖 |