第3回 受賞作品
榎本好宏 選
 第三回「航のつどい」全国俳句大会は平成三十年十月二十二日、アルカディア市ヶ谷(私学会館)で開催されました。司会進行は、同人会会長の田中勝と幹事の花村美紀。
 幹事長の太田直史の挨拶では、本年度の活動、五周年記念行事、協賛金のお礼、また、「航出版」の活躍と八月に出版された主宰の第十句集『青簾』について報告されました。
 主宰の挨拶に続き、大会賞、特選、秀逸の発表へ。さらに、今年は第五回「航賞」の特選、秀逸がこの会場で発表され、主宰の講評と講演をいただきました。
 第二部の懇親会では、福岡、堺、山梨など遠方よりご出席の会員の皆さまから大変楽しいスピーチをいただき、十日会の秋山健さんの乾杯で宴が始まりました。中締めは編集長の小谷迪靖の手締めで賑やかに閉会しました。

  

大会賞
夏安居の蠟涙厚くなりにけり三浦  郁
特 選
家恋し畳のこほしさるすべり渡辺美津子
新走りお呪ひほどいただきぬ露木 敬子
防人の妻と見てをる蛍かな中村いはほ
八月の吾が影に佇つ祈りかな青山 幸則
水澄みて水に匂ひの戻りけり柏倉 清子
こもごもに揉みやはらげて祭足袋別所 信子
平かに来し方過ぎし遠花火石井 文子
太鼓綱締めて高鳴れ島祭上春 那美
汝のことば待つかに添水鳴りにけり赤木 和子
盆栽の通草色づき文化祭栗原  満
秀 逸
澄みて又国分寺うら鹿威し安部由美子
青すすき一気に丈を揃へたる馬場 忠子
落し文吾が逝く星の招き文太田 直史
草原を膝の分けゆく端午かな菅  美緒
この先は観音様よ萩の花齋藤 律子
何事も今日が始まり白木槿野田 武子
祭太鼓止みて高きに月のあり馬来まち子
風そよと未だ名残の草いきれ福田 順律
をろがみて静かに掬ふ泉かな大須賀衡子
仲秋や草の匂ひの和蝋燭佐藤 享子
脱ぎかけの野良着に一つ虫の声坂本 りき
風鈴市つづうらうらのひびきあり加藤 桂子
祖母の影母のこゑして青簾花村 美紀
虫の音も夜道辿るも故郷かな太田かほり
新涼の脇往還を川に沿ひ保科 綾子
墨の香の立ちて一人の良夜かな保坂 定子
八月の手を合はすこと願ふこと吉田 洋子
尽くしても言葉足らざり夜の桃永井  環
七月や手ぶらの男田にをりて石井 公子
千屈菜(みそはぎ)の道は何処も迷ふ道村上 正己

   

  1. 第1回「航のつどい」 全国俳句大会
  2. 第2回「航のつどい」 全国俳句大会
  3. 第3回「航のつどい」 全国俳句大会
  4. 第4回「航のつどい」 全国俳句大会
  5.   第5回「航のつどい」 全国俳句大会